建築物石綿含有建材調査者講習登録制度 ~ショートコラム⑩~
健康被害を防ぐため、建物を解体・回収する際は事前にアスベストが建物内に使用されているかどうかを調査しなければなりません。適切に事前調査を行うためには、アスベストに関し一定の知見を持った者が調査を行うことが必要になります。
調査者を育成するための制度として建築物石綿含有建材調査者講習登録制度というものがあります。
建築物石綿含有建材調査者講習登録制度とは、一定の要件を満たした講習実施機関を登録し、その機関が行う講習を受講し、修了考査に合格した者に建築物石綿含有建材調査者の資格を付与する制度です。2018年に国土交通省、厚生労働省、環境省の3省共管の講習制度をつくり、建築物石綿含有建材調査者の育成を図ることとなりました。
<現在の制度ができた経緯>
2013年に国土交通省が「建築物石綿含有建材調査者講習登録規定」を定め、建築物の通常の使用状態における石綿含有建材の使用実態の調査を行うことができる建築物石綿含有建材調査者の育成を図ってきました。
一方で、厚生労働省や環境省でも建築物の解体等の前に実施する調査に際し、一定の知見を有する者が調査を行うよう、周知啓発を行ってきました。
各省の調査で求められる知識や技能は共通の内容が多く、今後石綿含有建材が使用されている建築物の解体工事の増加が見込まれる状況を踏まえると、調査者の育成を一体的に行うことが効果的かつ効率的であると考えられました。そして、現在の制度へと生まれ変わりました。
現在、建築物石綿含有建材調査者の資格は3つに分かれています
・特定建築物石綿含有建材調査者
・一般建築物石綿含有建材調査者
・一戸建て等石綿含有建材調査者
2020年7月に石綿障害予防規則等が改正され、2023年10月以降に着工する工事から、建築物石綿含有建材調査者等による事前調査が義務付けられました。