アスベスト健康被害とは

大阪泉南アスベスト訴訟とは

アスベストを扱う工場労働者の問題については、転機となった訴訟があります。それが大阪泉南アスベスト訴訟です。
この訴訟は、アスベストの産業が集中する大阪府泉南地域のアスベスト工場で働いていた元労働者やその家族、遺族、工場の近隣の営農住民らが国に対して起こした損害賠償請求訴訟です。

アスベストは断熱力や耐摩擦性に優れ、繊維の細さゆえに使いやすいという非常に優れた材料であったために、人体に害を及ぼす危険性が認識され、その製造・使用が原則禁止されるまで、アスベストを含む建材は、優秀な建材として多くの建築現場において使用されてきました。
その結果、アスベストの製造、使用が禁止されるに至るまでに多くの建設作業員の方やアスベスト工場の労働者の多くがアスベストにばく露したのです。

特に、アスベスト産業が集中する泉南地域では最盛期には日本のアスベスト産業における国内シェアをほとんど独占しているような状況にあり、多くのアスベスト製品工場がありました。
当然、その地域でアスベスト産業に従事し、日常的にアスベストにばく露する労働者の数は多く、またアスベストの飛散への対策をとらぬままに工場を操業していた為、空気中に飛散したアスベストにばく露した方々も多かったでしょう。

アスベストによる健康被害は潜伏期間が長く、場合によっては50年程度の潜伏期間を経て発症するものです。
当時には健康被害が出ていなかったものの、数十年の時を経てアスベストによる健康被害が発症した、として国に対して損害賠償請求を行ったのです。

結論のみ要約すると、平成26年10月9日、最高裁判所はアスベストを含む製品の製造工場の労働者について、次のように判断しました。

労働大臣は、昭和33年頃以降、石綿工場に局所排気装置を設置することの義務付けが可能になった段階で、出来る限り速やかに省令制定権限を行使して、局所排気装置の普及を図るべきであった。
そして、昭和33年頃から局所排気装置設置の義務付けが行われた昭和46年4月28日までの間に義務付けを行わなかったことが国家賠償法1条1項の適用上違法であるといえる。

このように最高裁判所が判断したことで、国はアスベスト工場の元労働者やその遺族が提起する訴訟の中で、要件を満たすことが確認された場合、和解して賠償金を支払うという方針を表明しました。

それに伴い2017年に厚生労働省から、アスベストによる健康被害を受け、上記和解の対象となる可能性の高い方に向けて通知が出されています。
厚生労働省からその通知が届いていた方は賠償金が支払われる可能性が高いということになります。
ただし、この通知はあくまでも対象になる可能性が高いと国が把握している方に向けて送られたものに過ぎませんので、この通知が送られなかったから賠償金の受け取り対象ではないということではありません。

アスベストにばく露した覚えがあり、実際にアスベストによるものと思われる健康被害が生じている方は、当事務所へご相談ください。

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