全般
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なぜ石綿(アスベスト)が注目されたのでしょうか。
平成17年6月29日に、株式会社クボタの旧神崎工場(尼崎市)周辺にアスベストによる被害により死亡した者が多数にのぼるという発表がなされ、以降とアスベストによる加害行為を行ってきた事業者がアスベストによる健康被害の実態を公表しました。
これを契機として、直接はアスベスト粉塵には被曝されていないはずのその従業員の家族や工場周辺の住民にも被害が出ているという実態でした。
アスベスト問題は、その事業場でアスベストを製造したり、取扱う者や就労環境でアスベストに被曝する者だけでなく、その労働者の家族、工場周辺の住民等にも予め対応する必要がありました。
アスベストは平成18年の使用禁止まで、多くの学校でも使われてきました。 -
石綿(アスベスト)関連法案とは何ですか。
「大気汚染防止法改正」、「建築基準法改正」、「廃棄物処理法改正」、「石綿健康被害者救済法」等から構成されています。
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石綿(アスベスト)の種類を教えてください。
(WHO・ILOによると)主要な種類は、「白石綿」、「茶石綿」、「青石綿」、「アンソフィライト」、「トレモライト」、「アクチライト」これら6種類の鉱物のうち、顕微鏡レベルで長さと幅の比が3以上のアスペクト比を持つ繊維状のものを石綿(アスベスト)といいます。
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石綿(アスベスト)の特性を教えてください。
石綿(アスベスト)は、優れた物的性質を有しており、非常に多くの方面で使われてきました。特性として、「耐熱性」、「断熱性」、「防音性」、「親和性」、「経済性」等があげられます。
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石綿(アスベスト)の用途を教えてください。
以下のような用途に使用されてきました。
(代表例)
①石綿タイル
②摩擦財(ブレーキライニング、クラッチフェーリング等)
③シール財(グランドパッキング、ガスケット等)
④石綿紡織品(船舶の保温財、自動車の摩擦材等)
⑤石綿板(ディスクロール等)
⑥石綿含有建財(波板スレート、住宅用屋根スレート、ボード類等)
⑦石綿紙
⑧吹付け石綿
約9割を建材製品が占めています。 -
石綿(アスベスト)による健康被害とは何ですか。
石綿(アスベスト)は、ヒトの髪の毛の直径よりも非常に細く、肉眼では見ることができない極めて細い繊維からなっており、飛散すると空気中に浮遊しやすく、人が予期せずアスベストを吸い込むと、人の肺胞に沈着しやすい特徴があります。
石綿(アスベスト)の繊維が肺の内側に刺さることで炎症がおこり、肺から排出されずに刺さったままの石綿(アスベスト)が原因で引き起こされた、肺の線維化やがんの一種である肺がん、悪性中皮腫などをいいます。
吸い込んだアスベストの一部は体外へ排出されますが、石綿(アスベスト)の繊維が肺の内側に刺さることで炎症がおこることで、肺がん(原発性肺がん)、石綿肺、悪性中皮腫、びまん性胸膜肥厚などの病気を引き起こすことがあると判明しております。 -
勤めていた工場等がわかりません、依頼はできませんか。
資料の調査、収集からお任せください。
アスベスト訴訟(石綿工場型)は一定の証拠をそろえられれば国が和解するので予測が立てやすいのが特徴です。
難しそうに感じる証拠収集ですが、当事務所では、戸籍事項全部証明書などの公文書から診断書等の医療記録まで、皆さんに代わって必要な証拠の収集をいたします(一部弁護士では収集できないものは、ご自身で収集することをお願いする場合があります)。 -
労災認定を受けているのですが別に請求できるのですか。
アスベスト訴訟は、国を相手に損害賠償を請求する手続きですので、労災保険や石綿健康被害救済法による給付を受けている方であっても、これらとは別に、国に対して賠償金の請求をできる可能性があります。
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対象となる期間に働いていないと賠償金の請求はできないですか。
国との和解ができない場合でも、一定の補償を受けられる可能性があります。
国との和解による賠償金支払いの対象となるのは、大阪泉南アスベスト訴訟で示された要件を満たす方、またはそのご遺族の方に限定されます。
ただし、上記の要件を満たさない場合であっても、建設労働者型としての国家賠償請求や労災認定や石綿被害救済法による補償等を受けられる可能性があります。 -
勤めていた工場から、すでに見舞金や補償金を受け取っている場合、賠償金を受け取る要件から外れますか?
受け取られた見舞金や補償金の金額、病気の種類、現在の病気の症状などによっても異なりますが、国の和解要件を満たしている場合は、賠償金を受け取れる可能性があります。
和解要件や詳しい内容については、当事務所へご相談、お問い合わせください。 -
アスベスト工場に勤務していた家族がすでに死亡している場合、その遺族が賠償金の請求をできますか?
ご遺族の方でも国の和解要件を満たし、和解手続をすることにより賠償金を請求できる可能性があります。
損害賠償金を受け取ることが出来る要件(石綿工場型)
賠償金支払いの対象となるのは、(大阪泉南アスベスト訴訟)で示された以下の要件を満たす方、またはそのご遺族の方です。
要件1
昭和33年5月26日から昭和46年4月28日までの間に、局所排気装置を設置すべき石綿工場内において、石綿粉じんに被爆する作業に従事したこと。
※「石綿工場」とは、石綿紡績工場、石綿含有建材・製品の製造工場などを指します。
※上記期間内で就労した事実があれば、一部の期間でも対象となります。また、その前後の期間に石綿工場で働いても対象となります。
※労災保険や石綿健康被害救済法による給付を受けている方であっても、賠償金の対象となります。
※すでに事業場(会社)が倒産や閉鎖していても対象となります。要件2
その結果、石綿による一定の健康被害を被ったこと。
※「石綿による一定の健康被害」とは、石綿肺、肺がん、中皮腫などをいいます。要件3
提訴の時期が損害賠償請求権の期間内であること。
※期間内であるかどうかは当事務所にて確認させていただきます。これらの3要件を立証するためには、日本年金機構発行の「被保険者記録照会回答票」、都道府県労働局長発行の「じん肺管理区分決定通知書」、労働基準監督署長発行の「労災保険給付支給決定通知書」、医師の発行する「診断書」等の証拠が必要となりますが、くわしくは、当事務所にお問い合わせください。
石綿工場型のアスベスト訴訟は一定の証拠をそろえられれば国が和解するので今後の予測が立てやすいのが特徴です。賠償金を受け取るための要件(建設型)
建設アスベスト
国と企業の責任を認める2021(令和3)年5⽉17⽇に⾏われた最⾼裁の判決にて、労働者と仕事を個⼈で請け負ういわゆる⼀⼈親⽅(個人事業主)等の屋内建設現場(解体作業含む)でのアスベスト(石綿)粉じん作業に対し、国や⼀部の建材メーカーの賠償責任を認めました。
■建設アスベスト給付金請求の受付について
厚生労働省は、「建設アスベスト給付金制度」が2022年1月19日から完全施行されることを発表。建設アスベスト給付金の請求受付を開始しました。 当事務所では建設アスベストに関するご相談に対応しております
■賠償⾦⽀払いのための要件
要件1
以下の作業内容および期間にて、石綿(アスベスト)粉じん作業に従事していた⽅。
【屋内建設作業(解体作業含む)に従事した⽅】
1975(昭和50)年10⽉1⽇~2004(平成16)年9⽉30⽇までの間【吹付作業に従事した⽅】
1972(昭和47)年10⽉1⽇~1975(昭和50)年9⽉30⽇までの間※上記期間内で就労した事実があれば、⼀部の期間でも対象となります。
※労災保険や石綿健康被害救済法による給付を受けている⽅であっても、賠償⾦の対象となります。
※既に事業場(会社)が倒産や閉鎖していても対象となります。
※既に死亡した⽅でもその遺族が請求できます。要件2
「要件1」の結果、以下の石綿関連疾患を発症した⽅。
- 石綿肺
- 中⽪腫
- 肺がん
- びまん性胸膜肥厚
- 良性石綿胸⽔
要件3
提訴の時期が損害賠償請求権の期間内であること。
※期間内であるかどうかは当事務所にて確認させていただきます。 -
石綿(アスベスト)健康被害はどのような弁護士に依頼すべきなのですか。
アスベスト訴訟を扱っている事務所の弁護士に依頼されることをお勧めします。
泉南アスベスト訴訟で示された要件は、「国との和解を前提とした訴訟」を前提として示されたものなので、証拠類の取捨選択をすることが難しいです。したがって、アスベスト訴訟を扱っている事務所の弁護士に依頼されることをお勧めします。