アスベストによる健康被害~石綿肺~ ~ショートコラム④~
前回のショートコラムではアスベスト繊維を吸い込んでしまうことで人体に影響を及ぼす理由についてご紹介しました。今回からはアスベスト関連疾患についてご案内します。本日は石綿肺についてです。
石綿肺とは肺が線維化してしまう肺線維症(じん肺)という病気の一つです。
肺線維症(じん肺)とは、粉じんなどを長期にわたって大量に吸い込んでしまうことで肺の組織が線維化し、硬くなって弾力性を失ってしまう病気です。
アスベストを大量に吸い込んだことによって起こる肺線維症(じん肺)を特に石綿肺とよんで区別しています。
吸い込んだアスベストの量が多いほど肺の線維化が起きやすいことがわかっています。職業上アスベスト粉じんを10年以上吸入した労働者に起こると言われており、潜伏期間は15~20年と言われています。石綿肺はアスベストにさらされることがなくなった後でも症状が進行することもあります。
石綿肺の症状としてはまず息切れが出現し、症状が進行してくると咳や痰などが見られます。さらに症状が進行すると呼吸不全に陥る場合もあります。
治療法としては、咳、痰に対する鎮咳剤や去痰剤による薬物療法、慢性呼吸不全に対する在宅酸素療法などの対症治療があげられます。ステロイド療法は効果がありません。