アスベスト相談室

じん肺管理区分と救済制度

目次

1 じん肺管理区分とは

 ① 申請方法について

② 決定により受けられる給付について

2 じん肺健康診断とは

 ① じん肺健康診断の内容について

 ② じん肺健康診断とじん肺管理区分との関係について

1 じん肺管理区分とは

 まず、じん肺とはどのような病気なのか簡単に解説いたします。

じん肺とは、「主として小さな土ぼこりや金属の粒などの無機物または鉱物性の粉じんの発生する環境で仕事をしている方が、その粉じんを長い年月にわたって多量に肺に吸い込み、この粉じんに対して肺が反応し、変化を起こした病気をじん肺といいます。」

【参考:厚生労働省_離職するじん肺所見者のためのガイドブック 15頁

そのようなじん肺から労働者を守るためにじん肺法、労働安全衛生法などが存在します。これらの法で、作業管理、作業環境管理などに加えて、健康管理を事業主の責任で行うよう定められています。健康管理のうちの一つとして、じん肺法に基づくじん肺健康診断があり、その結果に基づいてじん肺を区分したものをじん肺管理区分と言います。

1-① 申請方法について

 ⑴ 申請時期

   じん肺管理区分決定の申請は、常時粉じん作業に従事する労働者の方(過去そうであった方も含む)はいつでもじん肺健康診断を受けた上でじん肺管理区分の決定申請をすることができます。

 ⑵ 必要書類

   じん肺管理区分決定の申請にあたり必要な書類は以下のとおりです。

   ① じん肺管理区分決定申請書様式第6号

   ② じん肺健康診断結果証明書様式第3号

   ③ 胸部のエックス線写真

上記①、②については各都道府県労働局がホームページに書式を公開しています。

その他詳しい添付書類等については、管轄の都道府県労働局へお問い合わせください。

 ⑶ 申請先

   じん肺管理区分決定の申請先は、住所地を管轄する都道府県労働局労働基準部の健康課又は健康安全課です。

1-② 決定により受けられる給付について

 じん肺管理区分の決定を受けた方で必要な要件を満たす方は以下のような給付を受けることができます。

・労災保険の給付

一定のじん肺管理区分の決定を受けた方で、じん肺法施行規則で定める一定の合併症を併発した方は労災保険給付を受けることができる可能性があります。

・建設アスベスト給付制度による給付

以下の要件を満たす方が給付の対象となります。

・一定の石綿関連疾病を発症した方

・昭和50年10月1日~平成16年9月30日の間に屋内建設作業に従事し石綿粉じんにばく露した方、若しくは昭和47年10月1日~昭和50年9月30日の間に吹付作業に従事し石綿粉じんにばく露した方

 ・労働者や一人親方、労災保険の特別加入資格を有している中小企業主又はそのご遺族

・健康管理手帳の交付

一定のじん肺管理区分決定を受けた方は労働安全衛生法に基づいて健康管理手帳の交付を受けることができます。健康管理手帳が交付されると、都道府県労働局から委託を受けた一定の医療機関で、無料でじん肺に関する定期検診を受けることができます。

・国家賠償請求による給付

石綿関連疾患によってじん肺管理区分の決定を受けた方の中で、一定の期間中に石綿工場及び建設現場で作業に従事していた方は、国家賠償請求訴訟を提起し、損害賠償請求を行える可能性があります。

2 じん肺健康診断とは

2-① じん肺健康診断の内容について

粉じんばく露作業に従事している労働者については、事業主によってじん肺健康診断が実施されます。しかし、当該労働者が粉じんばく露作業から離職した場合には、労働者は自分でじん肺健康診断を受ける必要があります。

じん肺健康診断の内容については以下のとおりです。

 ⑴ 粉じんばく露作業の職歴調査

 ⑵ 肺機能検査

 ⑶ 胸部臨床検査

 ⑷ 胸部エックス線直接撮影

 ⑸ 結核精密検査

 ⑹ 合併症に関する検査

2-② じん肺健康診断とじん肺管理区分との関係について

じん肺健康診断の結果とじん肺管理区分の関係は次のようになっています。

じん肺管理区分じん肺健康診断の結果
管理1じん肺の所見がないと認められるもの
管理2エックス線写真の像が第1型で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの
管理3エックス線写真の像が第2型で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの
管理3エックス線写真の像が第3型又は第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の、3分の1以下のものに限る。)で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの
管理41 エックス線写真の像が第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1を超えるものに限る。)と認められるもの 2 エックス線写真の像が第1型、第2型、第3型又は第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1以下のものに限る。)で、じん肺による著しい肺機能の障 害があると認められるもの

なお、健康診断を実施した医師の診断と、地方じん肺診査医の審査に基づいた都道府県労働局長の管理区分決定結果とは異なることもあります。

【参考:厚生労働省_離職するじん肺所見者のためのガイドブック 32頁

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