対象となる要件・関連疾患

対象となるアスベスト(石綿)関連疾患

中皮腫

身体の中の、臓器類を覆っている膜の表面に出来るがんのことです。
どこの膜の表面に出来るかで、胸膜中皮腫や腹膜中皮腫等にわかれます。
アスベストが原因で発症する中皮腫のほとんどがこの二種類の中皮腫です。
中でも、胸膜中皮腫の大部分はアスベストの吸入が原因であるとされています。

中皮腫はアスベストにばく露してから実際の発症までの潜伏期間が非常に長い病気で、長い場合にはばく露から50年程度経ってから発症する場合もあります。1970~80年代にかけてもアスベストは多く使われていたので、これから潜伏期間を経て発症する方が増加する可能性が高いといわれています。
症状は、中皮腫の発症する部位によって異なります。

胸膜中皮腫の場合の症状は、胸の痛みや咳、胸に水が溜まることによる呼吸困難や胸部の圧迫感が代表的です。
その他発熱や体重の減少がみられる場合もありますが、いずれも胸膜中皮腫に罹った場合にのみ現れる症状ではないので、特徴がなく、早期に発見することは非常に難しい病気であると言われています。

腹膜中皮腫の場合には、未だ検診の方法が確立されておらず、早期の段階では無症状である、というのが特徴です。
病気が進行するとお腹の中に水が溜まり、お腹が張った感じになったり、腹痛や腰痛、食欲の低下、排便異常、腹部のしこりなどの症状が出始めます。

肺がん(原発性肺がん)

肺にできるがんの内、他の細胞から転移したものではなく、肺や気管支から発生するがんのことをいいます。
原発性肺がんに罹った方は必ずアスベストにばく露したことがある、という病気ではなく、例えば喫煙等、他の原因によっても発症する病気です。
その為、アスベストへのばく露歴や、医学的見地からの判断で、アスベストへのばく露によって肺がんが発症した、といえる場合にアスベストによる肺がんである、という認定をされます。

肺がんについても、アスベストにばく露してから30~40年程潜伏期間があるといわれており、アスベストにばく露した総量が多ければ多いほどアスベスト肺がんのリスクは高まるといわれています。

また、肺がんは喫煙によっても発症する可能性があることは上述しましたが、アスベストにばく露し、更に喫煙をしている方の場合、そのリスクは飛躍的に高まることが報告されています。
一説には、アスベストにばく露しておらず、喫煙もしていない方に比べ、アスベストにばく露した喫煙者の場合にはそのリスクは50倍程度まで跳ね上がると報告されています。

主な症状としては、咳や痰、発熱、動悸、胸の痛み、息苦しさなどで、いずれも肺がんでのみ起きる症状ではないので、他の病気と区別しづらいこともあります。

びまん性胸膜肥厚

胸膜が炎症を起こして線維化してしまい、胸膜の4分の1以上にびまん性の肥厚(厚くなること)が起きる病気です。
線維化が進むと、肺の表面が肥厚し、固まって膨らまなくなります。その結果、呼吸困難に陥る場合があります。
高濃度でアスベストにばく露し続けた場合に発症することが多い(労災基準では3年以上の職業性ばく露)病気で、潜伏期間は30~40年程度といわれています。
びまん性胸膜肥厚についても、アスベストへのばく露のみを原因として発生するものではなく、感染症や、リウマチ性の疾患でも発症する場合があります。
後述する良性石綿胸水から生じることもあります。

症状としては、初期は無症状の場合が多く、症状があっても軽い息切れ程度で、自覚症状が無い場合も多いと言われています。
しかし、進行すると呼吸困難や胸痛、発熱等が出る場合があります。また、アスベストが原因である場合には、後述の石綿肺が合併している場合もあります。

石綿肺

石綿肺は、アスベスト(石綿)を大量に吸い込むことにより、肺が線維化する肺線維症(じん肺)という病気の一つです。
肺の線維化を起こす原因としては、石綿以外にも、粉じん、薬品等多くのものが挙げられますが、アスベスト(石綿)のばく露によって起きた肺線維症を特に石綿肺と呼んで区別しています。
潜伏期間は10年以上で、アスベストにばく露しなくなっても進行する場合があります。
上述のびまん性胸膜肥厚と合併している場合があり、びまん性胸膜肥厚と同じく、多くのアスベストにばく露することで発症します。

症状としては、初期症状は息切れや運動能力の低下、進行すると重度の息切れや呼吸不全を引き起こします。更に重篤な症状になると心臓に負担がかかり、肺性心という心不全を引き起こすこともあるという報告があります。

良性石綿胸水

「良性」という文字がありますが、この「良性」とは、単に「悪性ではない」という意味であり、身体に良いという意味ではありませんし、症状として何も発生しないという意味でもありません。
良性石綿胸水は、アスベストへのばく露によって発生する胸水のことで、胸膜中皮腫に発展する可能性のある胸水とは区別されます。また後述するように、びまん性胸膜肥厚へ進展する可能性があります。
潜伏期間はかなり幅があり、ばく露から10年も経たず発症することもあれば、40年以上を経過して発症することもあります。
症状としては罹患者の半数近くに自覚症状がなく、健康診断で発見されることもあるようです。アスベストにばく露した方に胸水が見つかったとしても良性のものではない可能性があり、悪性腫瘍に発展する場合がある為、3年間の経過観察を経てやっと良性石綿胸水と判断されることから、確定診断の難しい病気です。

症状としては、胸痛、発熱、咳、呼吸困難等が自覚症状として現れる場合もあります。
自然に胸水が消失する方も居ますが、中には何度も胸水の発生を繰り返し、びまん性胸膜肥厚に発展する場合もあります。

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