解決事例01
- 担当
- 大沼洋一弁護士
- 被告
- 国ほか9社
- 症状
- じん肺管理区分4
- 労災認定
- あり
- 賠償額
- 1,265万円(慰謝料1,150万円、弁護士費用115万円)
- ご相談社
- 被害者本人
事例の詳細
被害者は、18歳から主として建物の解体工を中心とする作業に従事し、60歳まで稼動しました。
現在、原告は、私は、咳や痰が出て、呼吸が苦しく、疲れやすく、6年前から酸素吸入器を付け、毎分3~5Lの酸素を吸入していました。
酸素吸入器を使わない場合、血中酸素飽和度(Spo2)が、90%を切り、時に60%を切ることがあり、合併症として心不全を患っており、時折BNP値が200を超え、入院が必要とされる場合もあります。
普段より咳と淡がでて夜も眠れず、現在は眠剤を服用しないと眠れない日々が続き苦しんでいます。
咳が出て、呼吸が苦しく、疲れやすく、4年前から酸素吸入器を付け、毎分4Lの酸素を吸入している。酸素吸入器を使わない場合、血中酸素飽和度(Spo2)が、80%を切り、時に60%を切ることがあります。
担当弁護士は、労災認定時の資料、本人の陳述から国の責任が認められるべき事案と判断し、令和3年2月、国及びアスベスト建材製材メーカーを被告として、東京地方裁判所に損害賠償請求訴訟(賠償額3,500万円の一部請求)を提起しました。
本訴は、元建築作業従事者である原告が、建築現場において石綿含有建材を加工・使用して建物を建築・改修し、又は石綿含有建材を含む建物を解体する業務等に従事する過程で、同建材から発生する石綿粉塵に曝露し、石綿肺に罹患したことから、被告国に対しては、労働大臣、建設大臣、内閣等が石綿関連疾患の発症又はその憎悪を防止するために旧労基法(労働基準法)、安衛法(労働安全衛生法)、労災保険法(労働者災害補償保険法)又は建基法(建築基準法)に基づき規制権限を適時かつ適切に行使しなかったことにより、国賠法(国家賠償法)1条1項に基づき、被告製造企業らに対しては、被告企業がその製造・販売する建材が石綿を含有すること、石綿に曝露した場合、石綿面等の重篤な疾患に罹患する危険があり、これを回避するために呼吸用保護具を着用すべきこと等を警告すべき義務を負い、また、その製造・販売する建材に石綿を使用しない義務を負っていたにもかかわらず、これらの義務を怠ったことにより、不法行為(民法709条、719条)又は製造物責任(製造物責任法3条、6条、民法719条)に基づき、原告に生じた損害及びこれに対する不法行為の後の日である本件建築作業従事者の石綿関連疾患の労災認定日の翌日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の連帯支払いを求めました。
令和3年10月5日、被告国との間で1,265万円(慰謝料1,150万円、弁護士費用115万円)での和解が成立しました。
被告製造企業に対しては、最高裁判所が令和4年6月3日、解体工との関係では製造企業に警告表示義務はないとの判決を出したので取下げ予定です。
弁護士のコメント
いわゆる建設アスベストのうち、得に解体工については、賠償責任を否定した高裁判決が複数出ていたが、粘り強く主張を重ねたことで、国との関係では相応の成果をあげることができました。難しい事件であっても、丹念な主張立証を重ねることで良い結果に結びつく可能性は十分にあります。